医者は恵まれた環境で育っている人が平均より多いため、患者さんやその家族の立場を経験し、その気持ちを知る人は少ないです
もちろん、経験していなくても患者さんに寄り添い、気持ちを理解できる先生も多くいらっしゃいますが、逆に医者という立場にあぐらをかき、身勝手な対応をとる先生も意外と多いと感じています
私は幼少期から母が病弱で入院や通院が多く、患者家族の立場が長かったため、医者サイドよりも患者サイドの考え方だと思っていました
しかし自身の妊娠6か月の頃その考えを覆すことが。
大学病院で急変や呼び出しの多い病棟対応で慌ただしく日々を送っていた時のこと
仕事中頭がクラクラして、吐き気が凄い…この頃まだつわりも少しあって、常に二日酔い状態だったので悪化した?!と思い、少し休むも治る気配なし
なんとかその日は終わらせて自宅に帰り熱を測ったら38℃超え
これあかんやつや…
しかし妊娠中は熱が上がりやすいと産科医から聞いていたため、職場に連絡して休みをもらい、とりあえず寝ることに
しかし次の日も…
その次の日も…熱は下がらず
むしろ40℃をうろちょろ
妊娠中でも飲める解熱鎮痛薬のカロナールを許容ギリギリまで飲み続けても一旦38℃になってはすぐ40℃に戻り、汗、嘔吐、シバリング(震え)が止まらない
食事も一切食べられず、水を飲んでも吐く状態…
そして発熱から3日後…かかりつけの産科に電話するも
感染が疑われるので受診はできません、内科で診てもらってください
妊娠中は感染しやすいこともわかってるけど…なんのためのかかりつけやねん!
4日目に近くのたまに行く内科へ
しかし数分の距離も歩けず、自宅前にタクシーを呼び、内科の前でも座り込んで中々動けず、やっとの思いで受診…
でもここ、透析がメインの内科で薬の量を減らすのが当たり前になっていて、それ効かないよね?って量しか普通の人にも出さない
そしてやっぱり抗生剤通常の半量しかもらえず…
これじゃ耐性菌作るだけで効かないわー!
と内心キレ気味でしたが、体力尽きていて声も出ず
一応点滴で輸液もして帰宅したけど、5日目になってもやはり効かず
ちょっとこれはヤバいと感じ、自分の勤めてる大学病院の産婦人科医に連絡を取り、診てもらうことに
(完全にコネです。当てがなければここで救急車になるところです)
タクシーでも25分ほどかかるので、その間吐くのを必死に耐える
なんとか病院に辿り着き、車椅子へダイブ
採血チェックしたらおぞましい結果が…
ほぼ全ての数値が真っ赤!!(異常値)
しかもパニック値(即入院加療必須)まで出てる
わーお!こんな数値中々みれないよ〜
と遠目でもわかるヤバさ。ちらっと見えただけでも、炎症反応の指標であるCRPも10超えてるじゃないか(正常値0.3以下)
診察してくれた先生に一瞬で言われた
はい、入院ね
ですよね~
今回初めてここまで自分が体調不良&入院になって感じたこと
妊娠中の病院受診は嫌がられるので、必ず内科のかかりつけを作っておくことの重要性
近医はもちろん、出来れば入院した時のために大きな病院にも受診歴があると○
大きい病院行かないよ〜という人は必要時にかかりつけ医で紹介状をもらってください
妊娠中は正常値や使えない薬があり、初見ではどの医者も正直診るのは怖いです
救急車に乗っても病院が忙しかったり、専門医がいなかったり、リスクが高いと判断されれば簡単に断られます
このブログを読んで頂けている方はいないと思いますが、世の中には
一度も産婦人科に受診せず陣痛が来て「腹痛」で救急車に乗ってくる人
ろくに妊婦健診をせず体調が悪くなると突然受診しようとする人
がいます。しかも
そういう方に限って、
高リスク妊婦さんだったり
態度が最悪だったり
旦那さんが怒鳴り散らしたり
医者も1人の人間なのでリスクは出来るだけ避けたいのです
お互いが信頼して診察、治療が出来るように、事前に産婦人科以外にもかかりつけを作っておいてください!
そして妊婦健診データなどがあればすぐ出せるところに用意しておいてください!
結局私は
原因不明の高熱で感染が疑われるため、個室隔離
知り合いの先生方がぞろぞろやってきて物凄い恥ずかしい上に
私の血管細すぎ&脱水で点滴ルートが全然取れない!
結局看護師さんじゃなく先輩の先生に手の甲で取ってもらうことになりました
もう自分で血管探します!
ご迷惑おかけしてすみませんー
そんなこんなでやっとルートが取れて点滴をすることになったのですが
ここで医者と患者の違いを肌で感じることが。
ほとんど薬の説明や入院期間の説明がないのです
抗生剤入れて様子見ますね
だけ…
私は何の薬かも予想がつくし、副作用もわかっててて説明はなくても平気です
その先生は同業者だから説明しなかったのかもしれません
ただ、思い返してみると
研修医の頃色々な科を回り、沢山の先生の元で働いていた頃
電子カルテの画面で薬足したりして看護師さんに
じゃ!薬よろしくー
で患者さんに説明もせず終わってた先生方が、少なからずいたことを思い出しました
医師として働いていた時には、こちらも何十人もの患者を受け持ち、急変や急患対応をしていたので
私もその時は
忙しくて伝えられないこともあるか~
でも一言でも自分の口で伝えればいいのに
くらいに思ってました
(私は患者さんと話すのが好きなので、時間があれば病室に行って、世間話や治療の説明をわかる範囲で伝えるようにしてましたが)
しかし
これってとても怖いことですよね…
患者さんにとったら
何の薬を飲まされているor点滴されているかもわからない
薬が突然足されたり減らされても理由もわからない
副作用は?
何日続くの?
また薬変わったりするの?
自分の事なのに中々患者さん側から医者に質問するのって、萎縮してしまったりで聞きづらい
採血1つでも医者は
明日数値みたいな〜ポチッと
で終わりますが、患者さんは
えっ?今日採血あるの?聞いてないよ。痛いのやだなー
痛い思いしたのに結果詳しく教えてくれないの?
と少しずつ不信感は増していきます
いかに患者さんとコミュニケーションを取り
些細な事でも直接伝え
患者さんが話しやすい環境を作るか
自分が患者さん側の立場になって初めて、これがどれだけ重要なことか気付きました
私の熱は妊娠中でも使える抗生剤をガッツリ入れて2日後には下がり、1週間で退院
原因は結局はっきりしませんでしたが、妊娠中で免疫力が下がっていて尿路感染かなと
ただ、いくら大丈夫と言われている抗生剤、解熱鎮痛薬でも大量に使ってしまって
お腹の子に影響がないか
生まれるまで本当に不安でした
しかし
この入院があったからこそ
患者さん側の思いを知ることができ
今後の医者人生をより患者さんに寄り添ったものにしようと思えるようになりました!
ちなみに、子供は薬の影響もなく、元気に育っていますのでご安心ください
最後までお読み頂きありがとうございました